『softscars』yeule

アーティスト名は「ユール」と読むらしくファイナルファンタジーに由来する名前らしい(ユウナからかな?)。一聴、懐かしい気持ちが込み上げてくる。わざわざマイブラやスロウダイヴの名前を出す必要もないくらい、彼ら前進のバンドが作ってきた音楽からの影響が色濃く聴き取れ、ドリーミーかつポップな、”痛み”を感じるアルバムだ。しかも『花とアリス』をカバーしていたりと、Parannoulとの共時性も感じたりする。いや、こうやって知っている人にしか伝わらない専門用語やアーティスト名を多用するのはやめにしよう。ユールにはユールにしかないサウンドがあり、それが私に響いた。ここで言いたいのはただそのことなのだから。若者(とは限らないけど)が持つ「苦悩」や「不安」という感情の発露として、自身の内にある痛みと正面から向き合い、「私はこんな人間です」とぎこちなく、大胆に、誠実に自己紹介をするような。あの不器用すぎるほど不器用だった十代の気持ちを歌に昇華している。岩井俊二の作品だけでなく日本のアニメやゲーム等のサブカルチャーからの影響も見て取れ(ジャケットからしてコスプレ感ありますしね)、彼女にとって”いま”しかない音なのだと感じ、ホッとあたたかい気持ちになると同時に何故か泣きたくなった。