ベルセルク42巻

胸が熱くなる。十代の頃あれほど夢中になり、作者が道半ばで夭逝してしまった漫画なのだから当然だ。一読、確かに三浦建太郎の美麗で奥行きのある絵を表現できている。というか、ほとんど違和感が無いのでそれだけですごい。絵柄的には41巻を「最新」の三浦絵としており、その上で、ばっちり決まった構図、表情、服の質感、アクション、コマ割りなどを過去の巻から丁寧に参照、作品に溶け込ませている。物語はある程度予想通りで、キャスカがグリフィスに連れてかれちゃいます(マジでグリフィスは"ガッツ"に対して執着心すごいよな)。世界中にファンがいる作品なのだから、かかる重圧は相当なものだろうし、どれだけ素晴らしい出来になったとしても、心ない人からは「紛い物」だと言われるだろう。そしてそう言いたい人たちの気持ちもよくわかる。でも、読んでみればわかるけど、本当に一コマ一コマ大事に仕上げたのが伝わってくるし、そこには原作へのリスペクトや理解が深く深く感じられる。あの道半ばで潰えてしまった夢の続きが見れる。それだけで感謝してもしきれないよ。

最後に、蛇足と分かっていてもどうしても言いたいのが、台詞の分量で、全体的にかなり少なく感じてしまう。三浦建太郎は「絵」の人であり、「言葉」の人でもあったと私は思っていて、彼の漫画キャラはそのコマごとに絵の魅力を何割増しかにするような印象的でかっこいい、人間味のある台詞を発していた。たぶん後継者の方々はそのこともよくわかっていて、絵よりも言葉を寄せることの難しさを理解しているのだろう。でもだからこそ、そこに踏み込んでいってほしい気もしてしまう。要求が多い上にハードルが高いことはわかっているけれど、私としてはもっと自由に描いてもいいじゃないかと思うし、そういう願いを込めてこの文章を書いている。