押絵と旅する男

江戸川乱歩の短編。何気に短編作品の中では上位にランクインするポピュラーな作品らしいのですが、読んでませんでした。

話の筋は語り手の「私」が汽車で押絵を持った男と出会い、その押絵にまつわる物語を聞かされるというもの。乱歩の文学者としての能力が存分に出ており、一文ごと流麗で、詩のような趣があります。そのため普通に汽車に乗ってるだけの描写もどこか幻想的で美しい反面、やや煙に巻かれた捉えづらさも。夢、幻の世界にふわりと入っていく筆致は見事であり、乱歩の中でも人にすすめやすい内容だなあと思いました。まあ、あたくしはもっと変態が出てくる方が好みですが。